スポーツ指導者に必要な生理学と運動生理学の知識

スポーツ指導者に必要な生理学と運動生理学の知識

体育・スポーツ・健康科学テキストブックシリーズ

【編著者】 
 村岡  功  早稲田大学スポーツ科学学術院教授
【著者】
 赤間 高雄 早稲田大学スポーツ科学学術院教授
 家光 素行 立命館大学スポーツ健康科学部准教授
 井澤 鉄也 同志社大学スポーツ健康科学部教授
 内田  直 早稲田大学スポーツ科学学術院教授
 大築 立志 東京大学名誉教授
 岡田 純一 早稲田大学スポーツ科学学術院准教授
 彼末 一之 早稲田大学スポーツ科学学術院教授
 北川  薫 中京大学スポーツ科学部教授
 鈴木 克彦 早稲田大学スポーツ科学学術院准教授
 田畑  泉 立命館大学スポーツ健康科学部教授
 内藤 久士 順天堂大学スポーツ健康科学部教授
 林  直亨 九州大学健康科学センター准教授
 広瀬 統一 早稲田大学スポーツ科学学術院准教授
 (五十音順)

【発行日】 2013年3月15日
【ISBN】 978-4-902109-30-6
【判型】 B-5
【ページ数】 196
【図表】 図表211
【価格】 定価2,600円+税

体育・スポーツ・健康科学テキストブックシリーズ

 運動やスポーツ活動に積極的に関わる保健体育科の教員は,スポーツ活動における競技力向上やスポーツ活動における健康増進に重要な役割を果たす存在である。一方、保健体育科の教員養成においては、生理学と運動生理学がそれぞれ独立して取り上げられてきたのが実情であり、そのため両科目間で必ずしも一貫性が無く、「保健体育」に必要な生理学と運動生理学の知識が十分に伝わっていない可能性も考えられる。本書は保健体育教員免許取得のための授業や保健体育科教員のためだけでなく スポーツに関わるコーチ、トレーナーおよびスポーツ栄養や健康運動の指導者にとって有益な「生理学と運動生理学」の知識を1冊にまとめた。

 

 
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【はじめに】

 生理学(Physiology:身体の学問)は、生命現象を対象としてそのメカニズムを解明する学問である。生命現象とは生命あるものに関連して起こる諸々の現象(呼吸、循環、消化、吸収、排泄、感覚、内分泌、生殖など)のことであり、その共通の特質として、①絶えず物質ならびにエネルギー交代を伴う、②成長や老化に伴って形態的に変化する、③生殖あるいは増殖によって子孫を次代に残す、④置かれた環境に対して適応する能力(環境適応性)を持つ、⑤外部環境の変化に対して内部環境を一定に保とうとする(恒常性保持作用;ホメオスターシス)、などを挙げることができる。また、メカニズムとはその仕組みあるいはある現象を構成している要素と要素との関連性を指す。このように、生理学とは、生命あるものがどのような仕組みによってそれを維持しているのかを解明する「身体の学問」であり、医学における基礎分野として非常に古くから発展してきた。

 一方、生理学が一般に静的(安静)状態での生命現象を対象としているのに対して、運動生理学(Exercise Physiology)は、主に動的(運動)状態での生命現象を対象としている。つまり、運動生理学は一過性の運動に対する生体の応答と、規則的な身体活動による生体の適応を明らかにする学問であるといえる。運動生理学の発展は生理学と比べると新しく、1940年代以降に本格的に研究が行われるようになったが、近年では広く社会からも注目されるようになっている。

 この背景には、主に2つのことが関わっているように思われる。その1つは、1950年代に入ると、運動不足と健康阻害との関連が注目されるようになり、この問題を解決するために運動生理学を中心として研究が進められてきたことである。第2に、オリンピック等の国際大会で活躍するためには、指導者や選手の経験だけに頼るのではなく、運動生理学を中心とした科学的なバックアップが必要とされたことを挙げることができる。

 中学生および高校生の頃は、骨格筋機能や呼吸循環系機能が急激に発達するとともに、様々な運動やスポーツ活動に積極的に関わる時期でもある。保健体育科の教員は、まさにこの時期の子ども達に対して、いかに健全に育成するか、スポーツ活動における競技力を向上させるかについて重要な役割を果たす存在である。そのためには、安静および運動状態での生命現象の仕組みを理解することが重要であるといえる。しかし、これまでの保健体育科の教員養成においては、生理学と運動生理学がそれぞれ独立して取り上げられ、それぞれ別のテキストが使用されてきたというのが実情である。そのため両科目間で必ずしも一貫性が無く、「保健体育」に必要な生理学と運動生理学の知識が十分に伝わっていない可能性も考えられる。

 近年、大学における「教育の質保証」が問われるようになったが、保健体育科教員を目指す人々に対しても同様のことが求められている。また、「保健体育」の学習指導要領が最近になって改正されたこともあり、これらのことから、この度、「保健体育」を学ぼうとする学生および中・高校で「保健体育」を教える教員にとって必要な「生理学と運動生理学」の知識を1冊にまとめた本書を上梓することとした。

 本書は「Ⅰ.スポーツ指導者に必要な生理機能に関する知識」と「Ⅱ.保健体育科に必要な健康・体力や運動実践に関わる知識」から構成されている。Ⅰでは、運動・スポーツと関連深い生理機能(骨格筋、神経、内分泌、免疫、呼吸、循環)について、生理学と運動生理学の知識をまとめて示すことで、「体育分野」における運動の仕組み等に対応出来るようにした。また、Ⅱでは、「保健分野」における健康、生活習慣病、応急手当、体力とトレーニング、水分摂取、スポーツ外傷・障害およびアンチドーピングに関わる問題を網羅した内容となっている。そのため、本書は保健体育科教員だけではなく、競技スポーツや健康スポーツと関わるコーチ、トレーナーおよびスポーツ栄養や健康運動の指導者にとっても有益なものになっている。執筆にはそれぞれの分野で活躍しているわが国の第一人者が当たっており、読者には最新の知識を得るために本書を積極的に利用して戴くことを願うものである。

2012.11
編著 村岡 功

 
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【目次】

Ⅰ部 スポーツ指導者に必要な生理機能の知識

1章 身体運動を発現する骨格筋の機能と適応  内藤 久士

 1.骨格筋の形態と収縮のメカニズム

  1.骨格筋の外観と働き

   (1)骨格筋と骨・関節

   (2)筋の分類

   (3)筋線維の走行方向と筋の働き

   (4)テコ作用:みかけの筋力と真の筋力

  2.骨格筋の微細構造

  3.骨格筋収縮のメカニズム

   (1)運動単位

   (2)興奮収縮連関

   (3)滑走説

   (4)単収縮と強縮

 2.筋運動と筋線維タイプ

  1.筋運動のエネルギーとその供給

   (1)筋収縮の直接のエネルギ−=ATP

   (2)筋収縮のエネルギー供給システム

   (3)エネルギー供給系とスポーツ競技

  2.筋線維タイプとその特性

   (1)速筋(線維)と遅筋(線維)

   (2)速筋線維と遅筋線維の特性

   (3)筋線維と運動単位のタイプ

   (4)筋線維組成とスポ−ツ競技特性

 3.ヒト骨格筋の筋力発揮特性

  1.筋力発揮に影響を与える要因

   (1)筋の横断面積と固有筋力

   (2)筋の初期長と関節角度

   (3)動員される運動単位の数とタイプ

   (4)生理的限界と心理的限界

  2.筋活動の種類と特性

   (1)静的収縮と動的収縮

   (2)短縮性収縮と伸張性収縮

  3.力−速度関係と筋パワー

  4.運動の機械的効率

  5.筋疲労

  6.筋力と筋温

 4.骨格筋の適応と変化

  1.筋収縮の様式から見た筋力トレ−ニングの種類

  2.筋力トレ−ニングによる効果の生理学的背景

   (1)筋力の増大

   (2)筋持久力の増大

   (3)筋パワーの増大

  3.トレーニングと筋線維タイプの移行

  4.筋線維タイプ別に見たトレ−ニングの効果

  5.骨格筋機能の加齢に伴う変化

   (1)発育に伴う変化

   (2)老化に伴う変化

  6.骨格筋機能の性差

   (1)筋力・筋持久力・筋パワー

   (2)筋線維組成

  7.遅発性筋痛


2章 運動を制御する神経系の機能と適応

 1.神経系の生理学的基礎  内田 直

  1.中枢神経と末梢神経

   (1)中枢神経系

   (2)末梢神経系

  2.神経細胞の活動

   (1)神経細胞

   (2)イオンチャンネル

   (3)静止膜電位

   (4)活動電位の発生

   (5)興奮の伝導

   (6)シナプスと神経伝達物質

 2.運動と神経系  彼末 一之

  1.運動に関係する脳部位

  2.運動神経と運動単位

   (1)運動ニューロンと筋肉の接続

  3.脊髄

   (1)筋紡錘と腱器官

   (2)伸張反射とγ系

   (3)さらに複雑な反射

  4.脳 幹

   (1) 姿勢反射

   (2)歩行

   (3) 脳幹によるその他の反射

  5.大脳皮質

   (1)一次運動野

   (2)他の運動関連皮質部位の役割

  6.運動学習と自動運動(大脳基底核と小脳)

   (1)大脳基底核

   (2)小脳

  7.運動関連脳部位間の接続

 3.トレーニングと神経系  大築 立志

  1.スキルトレーニングと神経系

  2.筋力トレーニングと神経系

  3.持久力トレーニングと神経系

  4.運動が脳の知的機能に与える効果

  5.運動が自律神経機能に与える効果

  6.スキルトレーニングの基本原則

   (1)反復

   (2)動機付け

   (3)フィードバック

   (4)オーバーラーニング

   (5)集中・分散練習とレミニッセンス

   (6)転移

   (7)メンタルプラクティス

   (8)休養


3章 運動を制御する内分泌の機能と適応  井澤 鉄也

  1.内分泌系の生理学的基礎

   (1)ホルモンとは

   (2)ホルモンの合成

   (3)ホルモンの作用機序:標的細胞におけるホルモンの情報伝達

   (4)ホルモンのフィードバック調節

  2.分泌器官の種類と各種ホルモンの生理作用

   (1)視床下部と下垂体のホルモン

   (2)甲状腺

   (3)膵臓

   (4)副腎

   (5)生殖腺

  3.運動時のホルモン分泌変化と生理作用

   (1)運動による血中ホルモン濃度の変化

   (2)運動時のホルモン作用

   (3)ホルモン受容体の変化

  4.女性ホルモンと運動

   (1)運動性無月経


4章 生体を防御する免疫系の機能と適応  鈴木 克彦

  1.免疫系の生理学的基礎

   (1)免疫と

   (2)特異免疫(獲得免疫)と非特異免疫(自然免疫)

   (3)免疫と病気

  2.運動と免疫系

   (1)運動と感染防御における物理的バリア

   (2)スポーツ選手に多い感染症

   (3)運動と非特異的防御機構

   (4)運動と体液性免疫

   (5)運動と細胞性免疫

   (6)運動とサイトカイン

  3.免疫系の変動と病態・予防

   (1)オーバートレーニング症候群

   (2)休養によるストレス予防

   (3)栄養によるストレス予防


5章 運動を持続する呼吸循環系の機能と適応

 1.呼吸循環系の生理学的基礎  林 直亨

  1.呼吸について

   (1)呼吸の機能と役割

   (2)肺での外呼吸の仕組み

   (3)肺容量の分画

   (4)肺胞でのガス交換

   (5)呼吸運動の調節

   (6)O2, CO2の運搬

   (7)ボーア効果

  2.循環系

   (1)循環系の役割

   (2)循環系の構成

   (3)心臓の構造と電気的変化

   (4)心電図

   (5)血管の構造

   (6)動脈から静脈に至る様々な血管

   (7)血圧とは

   (8)循環系の調節

   (9)姿勢変化時の循環系の調節

   (10)脳循環と冠動脈の特徴

 2.運動時の呼吸循環系応答  家光 素行

  1.呼吸機能と酸素摂取量(Vo2)

  2.循環機能と酸素摂取量(Vo2)

  3.血流再分配

  4.血圧

  5.呼吸商

  6.酸素借と酸素負債

  7.発育に伴う運動時の呼吸循環応答の変化

  8.加齢に伴う運動時の呼吸循環応答の変化

 3.運動トレーニングによる呼吸循環系適応  家光 素行

  1.トレーニングによる呼吸器の適応

  2.トレーニングによる心臓の適応

  3.スポーツ心臓と病的肥大心の違い

  4.トレーニングによる血管の適応

  5.トレーニングによる血流変化

  6.高齢期のトレーニングによる呼吸循環系適応


Ⅱ部 スポーツ指導者に必要な健康・体力や運動実践の知識

6章 健康と運動  田畑 泉

  1.健康と身体活動・運動

   (1)運動・身体活動・生活活動

   (2)生活習慣病発症予防に必要な身体活動量・運動量

   (3)身体活動量・運動量の指標:エクササイズ

   (4)エクササイズガイド2006の特徴

   (5)体力と健康との関係

   (6)メタボリックシンドローム解消に必要な運動量

  2.運動・トレーニングと健康

   (1)高い強度の運動トレーニングが骨格筋のGLUT4濃度に与える影響

   (2)PGC-1α

   (3)トレーニングとトレーニング効果に関する分子生物学的モデル


7章 体力の理解  北川 薫

  1.体力の定義

   (1)わが国での体力の理解

   (2)諸外国での体力の理解

   (3)国際体力標準化委員会

   (4)まとめ:体力の定義と変遷

  2.体力の測定

   (1)体力テストの考え方

   (2)新体力テスト(文部科学省)

   (3)生理学的テスト


8章 体力トレーニングの理論と実際  岡田 純一

  1.トレーニングの原理・原則

   (1)トレーニングとは

   (2)トレーニングの原理・原則

  2.体力トレーニングの方法

   (1)レジスタンストレーニング

   (2)持久系トレーニング


9章 運動と水分摂取  村岡 功

  1.水の一般作用と体液

  2.水の出納と体温調節

   (1)水の出納

   (2)体温調節

  3.運動時の発汗量と体温上昇

  4.熱中症と環境要因

  5.高温環境と競技パフォーマンス

  6.水吸収に関わる要因と水分補給法

   (1)水吸収に関わる要因

   (2)推奨される水分摂取法


10章 スポーツ現場での外傷・障害と応急処置  広瀬 統一

  1.スポーツ活動時に起こる外傷・障害

   (1)スポーツ外傷・障害の区別

   (2)中学・高校で好発する外傷・障害

   (3)外傷・障害が生じる原因(内的要因、外的要因、トレーニング要因)

  2.傷害受傷後から競技復帰(運動開始)までの流れ

   (1)メディカルリハビリテーションとアスレティックリハビリテーション

   (2)スポーツ活動復帰過程における「リスク管理」と「効率化」

  3.傷害受傷時の応急処置

   (1)緊急対応方策(エマージェンシープラン)の作成

   (2)スポーツ外傷受傷時の対応


11章 スポーツとドーピング  赤間 高雄

  1.ドーピングとドーピング防止活動の歴史

  2.ドーピング防止規則とドーピングの定義

  3.ドーピング禁止物質・禁止方法と治療目的使用

   (1)WADA規程禁止表国際基準

   (2)主な禁止物質・禁止方法

    1)蛋白同化薬

    2)ペプチドホルモン、成長因子および関連物質

    3)ベータ2作用薬

    4)ホルモンおよび代謝の調節薬

    5)利尿薬と他の隠蔽薬

    6)酸素運搬能の強化

    7)化学的・物理的操作

    8)興奮薬

    9)糖質コルチコイド

   (3)治療目的使用

  4.ドーピング・コントロール


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