ローイングの健康スポーツ科学
【編著者】
樋口 満(早稲田大学スポーツ科学学術院 教授)
【著者】
浅香 明子 (早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程)
石島 寿道 (東京農工大学 特任助教)
金岡 恒治 (早稲田大学スポーツ科学学術院 准教授)
河野 寛 (早稲田大学スポーツ科学学術院 助教)
川上 泰雄 (早稲田大学スポーツ科学学術院 教授)
丸藤 祐子 (早稲田大学スポーツ科学学術院 助手)
坂本 静男 (早稲田大学スポーツ科学学術院 教授)
関根 千恵 (早稲田大学大学院スポーツ科学研究科)
曹 振波 (早稲田大学スポーツ科学学術院 次席研究員)
田口 素子 (日本女子体育大学 准教授)
寺田 新 (日清オイリオ株式会社研究員)
平山 邦明 (国立スポーツ科学センター 研究員)
福 典之 (東京都健康長寿医療センター 主任研究員)
三上 恵里 (早稲田大学大学院スポーツ科学研究科 博士後期課程)
【コラム執筆者】
高村 光佐子
竹内 鑑二
田島 正孝
堀内 浩太郎
谷古 善昭
【発行日】 2011年9月8日
【ISBN】 978-4-902109-27-6
【価格】 定価2,625円(税込)
【はじめに】
近年,中高年齢層の人々を対象として,健康の保持・増進,生活習慣病予防,またメタボリック・シンドローム予防のために,日常生活において活発に身体活動を行うことが奨励されている.そのための身体活動として,男女を問わず幅広い年齢層で,ウォーキング,ジョギング,スイミング,そして各種球技などさまざまな運動・スポーツが行われ,年々その人口は増加している.一方で,スポーツそれ自体を楽しみ,地域レベルから全国レベル,さらには世界レベルの大会に参加している中高年者も多くみられ,そのなかでも高い競技レベルを有し,“マスターズ”と呼ばれている人々もかなりの人数になっている.
“ローイング(ボート漕ぎ)”は我が国ではマイナーなスポーツとみられているが,欧米諸国では,長い歴史があり,日常生活に組み込まれ,生涯スポーツとして多くの人々に愛好されており,国際ボート連盟(FISA)は毎年,世界マスターズ・ボート選手権大会を欧米諸国で開催している.わが国でも,中高年ボート愛好者を対象とした大会(マスターズ・レガッタ)が各地で開催されるようになってきており,参加者が増えつつある.とくに,最近は,日本ボート協会(JARA)が主催するマスターズ大会が開催されるようになり,学生時代にボートを漕いでいたが,長く水辺から遠ざかっていた人々の参加が増えてきている.
早稲田大学スポーツ科学学術院,あるいはスポーツ科学研究科に所属する研究者,大学院生は,これまでマスターズを含む中高年スポーツ愛好者を対象としたスポーツ科学研究を,とくに健康増進との関連で行っており,その研究成果は国際的な学術誌に多くの研究論文として掲載されている.さらに,実践的にも中高年スポーツ愛好者の健康管理や運動指導を行ってきており,そのなかでも,ローイングを愛好する中高年者に関するスポーツ科学的研究や運動指導,健康管理を精力的に行ってきた実績がある.
このような実績が評価され,2010年9月に開催された日本体力医学会大会(千葉)では,シンポジウム“高齢者の健康づくりと新しいエクササイズ”において,“高齢者に対するローイング運動の健康増進効果”を発表することができ,さらに,公募によるワークショップでは,“ローイング(ボート漕ぎ)運動の健康スポーツ科学”が採択され,運動生理・バイオメカニクス,循環器系機能,身体組成と筋量,そしてスポーツ整形外科的視点から腰痛について発表する機会を得た.
以上のような背景と経過を踏まえて,本書“ローイングの健康スポーツ科学”を出版することとした.本書は,健康に関連するローイング研究の集大成と自負している.これまで我が国の健康スポーツの実践現場で“マイナー・エクササイズ”であった“ローイング”が,本書を介してボート愛好者のみならず,広く世間で知られるようになり,世界に誇る健康・長寿の我が国における“メジャー・エクササイズ”として普及していくが執筆者一同の希望である.
2011年9月
編者 樋口 満
【目次】
はじめに 樋口 満
健康づくりのために“ローイング”を推奨する ジョン ホロツィ博士
1章 中高年者の健康増進とマスターズ・スポーツ 樋口 満・曹 振波
- 人類史における生活様式(ライフスタイル)の変化と人の身体的適応
- 生活習慣病、メタボリック・シンドロームと運動習慣
- ローイング(ボート漕ぎ)の歴史とマスターズ競技大会
(1) ローイング(ボート漕ぎ)の歴史
(2) 世界マスターズ・ボート選手権大会の歴史 - 男女別、年齢別にみたマスターズ競技の記録
- ボートライフを楽しむ
コラム1:2010世界マスターズ大会優勝 堀内 浩太郎
2章 ローイングの生理学 樋口 満
- 最大運動の持続時間からみた運動・スポーツの分類
- 運動強度と生理学的指標
(1) 運動中の酸素摂取量と最大酸素摂取量
(2) 身体活動・運動の強度(METs)と酸素摂取量
(3) 運動強度と呼吸循環器系指標の関係
(4) 運動強度と乳酸性作業閾値
(5) ローイング運動における運動強度 - ローイングに要求される身体能力
(1) ローイング・パフォーマンスと体格・最大酸素摂取量の関係
(2) ボート選手の最大酸素摂取量と筋線維組成 - マスターズ・ボート選手の体力
(1) マスターズ・ボート選手の最大酸素摂取量
(2) マスターズ・ボート選手の運動負荷中の血中乳酸濃度変化
(3) 高齢者に対するローイング・エルゴメータによるトレーニング
コラム2:ランニングとローイング 高村 光佐子
- ローイング運動と発揮パワー
- 運動の複合関節動作としてのローイング
- 遺伝子多型とは
(1) ゲノムとDNA
(2) 遺伝子多型
(3)アレルと遺伝子型 - ボート選手の遺伝的特性
(1) ボート選手の特性と遺伝率
(2) ボート選手の競技能力に関連する遺伝子多型 - ボート選手の遺伝的特性と寿命
(1) スポーツ選手の寿命
(2) ボート選手の特性と寿命
- 加齢による身体組成の変化
(1) 体脂肪・腹部脂肪
(2) 骨格筋量 - ローイング愛好者の身体組成
- 中高年者におけるローイングトレーニングによる身体組成の変化
- エクササイズチューブを用いたローイング運動
- 動脈
(1)動脈の構造・役割と加齢変化
(2)動脈機能の評価法
(3)運動様式と動脈機能 - 心臓
(1)加齢に伴う心臓形態の変化
(2)加齢に伴う左心室機能の変化
(3)トレーニングによる心臓の適応
(4)ローイングと左心室の形態・機能
- 糖尿病
(1)糖尿病とは
(2)糖尿病の原因
(3)糖代謝機能に及ぼす運動の効果
(4)ローイング運動が糖代謝機能に及ぼす影響 - 脂質異常症
(1)脂質異常症とは
(2)脂質異常症の原因
(3)脂質代謝機能に及ぼす運動の効果
(4)ローイング運動が脂質代謝機能に及ぼす影響
- メディカルチェック
(1)スポーツに関連した突然死の報告
(2)スポーツに関連した突然死の機序
(3)スポーツに関連した突然死の予防対策 - 障害予防
(1)腰部障害と腰痛
(2)ボート選手の腰部障害
(3)腰部障害の予防法
- 栄養・食事
(1)中高年ローイング愛好者の栄養・食事計画
(2)目的別の栄養補給方法 - 水分補給
(1)なぜ運動中の水分補給が重要なのか
(2)人間のからだと水分
(3)脱水のメカニズム
(4)運動による脱水がからだに及ぼす影響
(5)熱放散機能の限界とWBGT
(6)水分補給と電解質補給
(7)糖質補給と水分補給の相互作用
(8)実際に水分補給をする際の注意事項
- エクササイズを行う際の注意事項
- ウォームアップとクールダウン
- 腰部傷害予防のための基本トレーニング
(1)腹部引き込み動作
(2)ブリッジ・エクササイズ
(3)プローン・ショルダーサーキット(変法) - 柔軟性トレーニング
(1)スタティック・ストレッチングのガイドライン
(2)ストレッチングを行う際の注意事項 - 傷害予防・競技力向上のための筋力トレーニング
(1)筋力トレーニングのガイドライン
(2)筋力トレーニングを行う際の注意事項
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: ローイングの健康スポーツ科学
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ichimura-pub.com/mt/mt-tb.cgi/42







レビューを書く