スポーツ現場に生かす運動生理・生化学

スポーツ現場に生かす運動生理・生化学

【編著】 樋口 満 (早稲田大学)
【執筆者】
 甲田 道子(中部大学)
 高田 和子(国立健康・栄養研究所)
 坂本 静男(早稲田大学)
 定本 朋子(日本女子体育大学)
 町田 修一(東海大学)
 伊藤 静夫(日本体育協会)
 内田  直(早稲田大学)
 鈴木 克彦(早稲田大学)
 中谷  昭(奈良教育大学) 
 川中健太郎(新潟医療福祉大学) 
 八田 秀雄(東京大学)
 岡村 浩嗣(大阪体育大学)
 亀井 明子(国立スポーツ科学センター)
 石見 佳子(国立健康・栄養研究所)
 木村 典代(高崎健康福祉大学)
【発行日】 2011年2月7日刊行
【ISBN】 978-4-902109-24-5
【価格】 定価2,600円+税

 

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【はじめに】

運動生理・生化学の研究成果のスポーツ現場への応用

 南アフリカで開催されたサッカー・ワールドカップが終わって、すでに一ヵ月が過ぎようとしている。今回のワールドカップ開催前には、日本チームに対する国内の評価はいま一つであったが、緒戦にカメルーンに勝利し、オランダに善戦、そしてデンマークに快勝し、決勝トーナメント進出という結果を残した日本チームは、まるで優勝でもしたかのような大歓迎を受けながらの帰国であった。
 私は、日本チームの予選リーグ最終戦であった対デンマーク戦をヨーロッパスポーツ科学会議(ECSS)が開催されていたトルコの地中海に面したリゾートホテルのラウンジで、研究発表にやってきた研究室の大学院生たちとテレビ観戦した。本田選手や遠藤選手の見事なフリーキックによる得点シーンでは、飛び上がって喜んだが、トルコのホテル従業員も一緒に喜んでくれたことが忘れられない。トルコといえば親日的な国として知られており、今回の南アフリカ大会には出場していないが、2002年日韓共同開催のワールドカップ決勝トーナメントで日本が敗れた国でもある。
 ワールドカップ本大会に出場してきた各国チームは、本大会に出場するために、あらゆる手立てを尽くしてきたであろうし、本大会を勝ち抜くためにも最善の努力をしてきたであろうことは、想像に難くない。ワールドカップやオリンピックなど大きな国際大会終了後には、勝利のために活躍した選手や監督にスポットが当てられるのはいつものことであるが、選手やチームの活躍の陰には、スポーツ科学をベースとしたしっかりとしたサポートシステムが構築され、機能していたことは忘れられがちである。
 ECSSでは、クオリティの高い研究発表がデンマークの研究者から数多くなされており、日本からも若手を中心としていくつかのクオリティの高い研究が発表されていた。デンマークをはじめ北欧諸国はスポーツ科学の先進国であるが、サッカーで日本がデンマークに勝ったからといって、日本のスポーツ科学がデンマークより優れていると思う人はいないだろう。しかし、日本サッカー協会がスポーツ科学のこれまでに蓄積されてきた研究成果を取り入れ、スポーツ現場に生かしてきた成果であることは間違いないと思われる。そして、運動生理・生化学を含むスポーツ科学研究の理論をしっかりと身につけ、選手やチームをサポートするスタッフとして、アスレティックトレーナー、スポーツ栄養士、そしてスポーツドクターなど様々なエキスパートが影となって支え、貢献してきたに違いない。
 わが国では日本体育協会が公認スポーツ指導者養成制度により、様々なスポーツ関連のエキスパートを養成してきている。そのなかに、最近、スポーツ栄養士が新たなエキスパートとして加わったことは特筆されるべきことである。
 本書はスポーツ選手を支える様々な分野のエキスパートを目指す人々にとって、スポーツ科学のなかに重要な位置を占める専門分野である運動生理学、運動生化学のこれまでにコンセンサスが得られている知見に、最新の研究成果を加えて、とくに“スポーツ現場に生かす”という視点から執筆されている。本書の執筆陣はそれぞれの分野で高い専門的知識を持っているばかりでなく、実践的な視点からもスポーツ科学にアプローチしているエキスパートである。執筆者それぞれの書きぶりには多少のばらつきがあるが、それは各執筆者の持ち味が出た結果であると理解していただきたい。今後、読者の方々に忌憚のないご意見を頂き、よりよいものにしていきたいと編者は考えている。

2010.8.

早稲田大学教授

樋口 満


 
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【目次】

はじめに 運動生理・生化学の研究成果のスポーツ現場への応用 樋口 満

Ⅰ.運動生理学

1章 スポーツ選手の体格と身体組成 甲田 道子

  1. 身長と体重
  2. 身体組成
  3. 体脂肪率の測定方法
  4. スポーツ選手の身体組成
2章 トレーニングとエネルギー消費量 高田 和子

  1. 1日のエネルギー消費量の構成
  2. エネルギー消費量の測定
3章 スポーツ選手の体調管理と生理学的指標 坂本 静男

  1. スポーツ選手の体調管理の必要性
4章 スポーツ選手の呼吸循環器系機能 定本 朋子

  1. 有酸素性作業能力の指標―最大酸素摂取量―
  2. 呼吸機能と最大酸素摂取量―毎分換気量、肺拡散容量―
  3. 酸素運搬能と最大酸素摂取量―ヘモグロビン濃度―
  4. 循環機能と最大酸素摂取量―心拍出量、一回拍出量、心拍数、心肥大―
  5. 酸素摂取能力と最大酸素摂取量―動静脈酸素較差―
  6. 呼吸循環機能とパフォーマンス
5章 スポーツ選手の筋骨格系機能 町田 修一

  1. 筋線維タイプ
  2. 骨格筋の肥大
6章 運動時の水分補給と体温調節 伊藤 静夫

  1. 運動中の体温調節
  2. スポーツ活動中の水分補給
  3. 熱中症事故とその予防
7章 スポーツ選手の精神疲労と脳機能 内田 直

  1. 身体疲労と精神疲労
  2. 身体運動とうつ状態の発現メカニズム
  3. スポーツ現場に生かす知識

Ⅱ.スポーツ現場に生かす運動生化学

8章 スポーツ選手の体調管理と免疫機能 鈴木 克彦

  1. スポーツ選手と感染症
  2. 運動と非特異的防御機構
  3. 運動と体液性免疫
  4. 運動と細胞性免疫
  5. 運動とサイトカイン
  6. 休養・栄養面での対応策
  7. 健康増進のための適度な運動習慣の影響
9章 スポーツ選手の筋疲労と生化学的指標 中谷  昭

  1. 筋疲労について
  2. 筋疲労と血中CK、LDHおよびミオグロビンの変動
  3. 運動と血中CKレベルの変動
  4. 筋疲労と筋肉痛・筋損傷
  5. 筋疲労を低減する栄養・食事

10章 運動時の糖・脂質代謝と生化学的指標 川中健太郎

  1. 運動中の骨格筋におけるエネルギー源
  2. 運動中の疲労と糖・脂質代謝
  3. トレーニングによる骨格筋の代謝適応
11章 運動時の乳酸生成と生化学的応答 八田 秀雄

  1. 疲労は乳酸が原因ではないことが多い
  2. 乳酸は糖からできる
  3. 無酸素運動はあり得ない
  4. 乳酸は酸素がある状態で糖分解の高まりでできる
  5. 乳酸はエネルギー
  6. 乳酸のトランスポーターがある
  7. 糖は使いやすいが量は少ない
  8. マラソン終盤、サッカー終盤の疲労に乳酸は関係ない
  9. 疲労の原因は乳酸でないことが多い
  10. 疲労の原因は様々
  11. 血中乳酸濃度を指標として利用する
  12. 血中乳酸濃度はあくまで指標
  13. LT
  14. LT測定の実際
  15. 血中乳酸濃度を筋内からの1つの情報として利用する
12章 運動によるタンパク代謝と生化学的指標 岡村 浩嗣

  1. 血液
  2. 尿
  3. 筋肉などの組織
13章 スポーツ選手の貧血と生化学的指標 亀井 明子

  1. 貧血
  2. 鉄代謝の生化学
  3. スポーツ選手の貧血
  4. 貧血に関係する生化学的指標
  5. スポーツ選手の貧血および鉄欠乏の予防
14章 スポーツ選手の体調管理とビタミン・ミネラル 石見 佳子

  1. 水溶性ビタミン
  2. 脂溶性ビタミン
  3. ミネラル
15章 スポーツ選手の内分泌機能と性ホルモン 木村 典代

  1. ホルモンについて
  2. 一過性運動時と運動トレーニング時のホルモン分泌の変化
  3. 運動時の内部環境とホルモンの働き

 
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