スポーツイベントのマーケティング

coming soon

【編著者】
 間宮 聰夫
 野川 春夫(順天堂大学スポーツ健康科学部教授)
【執筆者】
 石澤 伸弘(北翔大学)
 太田 あや子(武蔵ヶ丘短期大学)
 岡安 功(東京国際大学)
 北村 尚浩(鹿屋体育大学)
 工藤 康宏(神奈川大学)
 國本 明徳(大阪産業大学人間環境学部)
 久保 和之(龍谷大学社会学部)
 小林 樹青(東京都生涯学習財団)
 佐藤 由夫(自由時間研究所)
 上代 圭子(順天堂大学スポーツ健康科学部)
 長ヶ原 誠(神戸大学発達科学部)
 仲野 隆士(仙台大学体育学部)
 二宮 浩彰(同志社大学スポーツ健康科学部)
 藤本 淳也(大阪体育大学)
 松本 耕二(山口県立大学)
 宮崎 朋子(順天堂大学博士課程)
【発行日】 2010年8月刊行予定
【価格】 未定

 

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【まえがき】

本書は、日本のスポーツイベント・プロデューサーの草分け的存在であった間宮聰夫氏の遺稿である。氏は、1964年の東京オリンピックにより、スポーツが新しい「メディアスポーツ」として認知され、1966年のビートルズ来日による騒ぎを創ることに携わって以来、音楽イベントを筆頭に、1970年の大阪万博、各種スポーツイベントのテレビ番組のコンテンツ造りに携わってきた。広告会社「電通」の1プロデューサーという立場から、1993年順天堂大学体育学部から『メダルなき勝利者』となるスポーツイベントを運営する学生を育成するスポーツ健康科学部創設に際し、「スポーツマーケティング論」、「スポーツイベントの企画運営含む実習」、「スポーツビジネス論」を領域とする教授として招かれ、10余年に渡りイベント学の構築と学生指導に粉骨砕身してきた。
デジタル時代を迎え、メディア革新に伴いイベントの送り手は、行政(国、自治体)、企業(企業団体、広告主企業、マスコミ企業、スポーツ産業、スポーツクラブ、広告会社等)、興行主体(スポーツ競技団体、音楽、美術等文化催事主催者、施設等)など多岐にわたっている。同時に、エンドユーザーである受け手も、観客、視聴者、読者、消費者等、家計からの多額の出費を負担する生活者や、企業各社、メディア等あり、時には送り手も受け手になる複層的構造に変化している。したがって、これからのイベントの区分は、行政主導イベント(博覧会、フェスティバル)、コミュニティイベント(地域、地域振興、環境)、企業イベント(見本市、展示会)、ユニバーサルデザインイベント(福祉、少子化、高齢化対象)、コンベンションイベント、スポーツイベント、音楽・文化イベント、インターネットイベント等で捉え直さなければならない時期を迎えた。
本書は「スポーツイベントのマーケティング論」として、第1部「メディアスポーツ」の立場から、加えて「生涯スポーツ」を第2部として論ずるものである。第1部は間宮氏が書き貯めた著書・資料を中心に再構成し、不足分・内容のアップデートに関しては氏と交流の深い(株)電通の方々に文章をまとめて戴いた。どの方も執筆協力に快諾してくださり、ようやく脱稿に至った。間宮氏は、観戦型スポーツイベントを「見るスポーツ、魅せるスポーツ」として「メディアスポーツ」と定義し、定義通りメディアとの密接な関係を重視している。全3章で構成されているが、いずれの章も氏の思い入れが強いテーマを中心に編纂した。
第2部は、間宮氏が気になりながらも手をつけていなかった生涯スポーツのイベントマーケティングの事例集である。観戦型イベントとは対極にある参加型スポーツイベントを「生涯スポーツ」と定義し、若手と中堅のイベント研究者がさまざまなスポーツイベントを紹介している。従来のスポーツマーケティング分野では見落とされがちな対象イベントである。本書では、イベント参加者やスポンサーの継続率を高めるためのマーケティングミックスについても言及してもらった。
間宮氏が逝去されてから1年間半が過ぎ、「スポーツイベントで飯が喰える」プロデューサー養成が悲願であった故人の遺書とも言える著書の編纂にようやくこぎつけた。本書を通じてスポーツイベントのマーケティングに関心を高め、スポーツイベント現場で活用して戴ければ望外の喜びである。また、(社)日本イベント産業振興協会(JACE)が実施する「イベント業務管理者資格」、その予備資格でもある「イベント検定資格」に挑戦し、将来スポーツイベント・プロデューサーを目指す人材が増えてくれることを切に願っている。

平成21年8月吉日
共編者 野川 春夫

 

【目次】

第Ⅰ部 メディアスポーツのイベントマーケティング <担当:間宮聰夫>

第1章 スポーツイベントのマーケティング

  1. スポーツイベントマーケティング:製品マーケティングとの違い
  2. 日本のスポーツイベント市場の規模と構造
  3. スポーツイベントのプロデゥーサー機能とディレクター機能
  4. インターナショナル・スポーツマーケティング会社の誕生と挫折

第2章 スポーツイベントとメディア

  1. テレビ視聴率はオールマイティか
  2. 日本のメディアネットワークマネジメント
  3. 日本の広告費
  4. メディアスポーツを育てる広告会社とは
  5. スポーツイベントを支えるスポンサーシップ

第3章 スポーツイベントとマーケティング戦略事例

  1. マーケティングから見たオリンピックの変遷
  2. 2002 FIFAワールドカップ(伊地知 直亮・上代 圭子)
  3. クラブ世界一決定戦(トヨタカップからクラブワールドカップへ)(濱口 博・伊地知 直亮)
  4. ゴルフ:2005年日本女子オープンゴルフ選手権から見た観客満足度とテレビ視聴率(渡辺 泰弘・間宮 聰夫)
  5. 世界陸上選手権:'91年第3回大会と'07年大会の検証

第Ⅱ部 生涯スポーツのイベントマーケティング <担当:野川春夫>

第4章 生涯スポーツのイベントマーケティング (上代 圭子・野川 春夫)

  1. 生涯スポーツイベントのビジネス化
  2. 商品化される生涯スポーツイベント
  3. 生涯スポーツイベントの配役
  4. 金太郎飴化しやすい生涯スポーツイベント
  5. 陳腐化を防ぐイベントマーケティング

第5章 マーケティング調査の実践例

  1. マーケティング調査の意義と目的
  2. マーケティング調査のすすめ方
  3. 質問票(アンケート用紙)の作り方とデータ収集
  4. 古河市マスターズサッカー大会におけるマーケティング調査

第6章 イベントマーケティングの構成要素 (藤本 淳也)

  1. マーケティング・プロセス
  2. マーケティング実践の考え方と方法

第7章 スポーツイベントとマーケティング戦略事例

  1. ウォーキングイベント:日本スリーデーマーチのマーケティング戦略 (工藤 康宏)
  2. 市民マラソン系イベント:いぶすき菜の花マラソン (北村 尚浩)
  3. 市民マラソン系イベント:東京マラソンのマーケティング戦略 (小林 樹青)
  4. ひも付き全国イベント:全国健康福祉祭(ねんりんピック) (太田 あや子)
  5. ひも付き全国イベント:全国スポーツ・レクリエーション祭(スポレク祭)のマーケティング戦略 (二宮 浩彰)
  6. 障がい者スポーツイベント:大分国際車いすマラソンのマーケティング戦略 (松本 耕二)
  7. 障害者スポーツ系:「2005スペシャルオリンピックス冬季世界大会・長野」のマーケティング戦略 (仲野 隆士)
  8. フライングディスク系イベント:アルティメットドリームカップのマーケティング戦略 (久保 和之)
  9. マスターズ系イベント:ワールドマスターズゲームズのマーケティング戦略 (長ヶ原 誠)
  10. マスターズ系イベント:日本スポーツマスターズのマーケティング戦略 (岡安 功)
  11. マスターズ系イベント:マスターズサッカーのマーケティング戦略 (宮崎 朋子)
  12. ウルトラ系:サロマ湖100kmマラソン・スキーマラソン (石澤 伸弘)
  13. ウルトラ系:佐渡国際トライアスロン大会のマーケティング戦略 (國本 明徳)
  14. ドイツの生涯スポーツイベント:スポーツフェスティバルFestival des Sports (佐藤 由夫)


【あとがき】

ゴルフイベントは、故間宮氏にとってもっとも思い入れの強いスポーツイベントです。特に、宮里藍選手がぶっちぎりで優勝した2005年の日本女子プロゴルフオープンは、間宮氏のホームグラウンドである戸塚カントリークラブで開催されました。氏はこのイベントの運営に深く携わっていましたが、途中で体調を崩してトーナメント終了直前に順天堂病院に検査入院となりました。筆者が病院を訪問した際、土気色の顔ながら「腫瘍が発見されたが心配ない」、「それより順天堂の大学院と日大文理学部の授業が心配だ」と気丈に話されていました。また、自身がこれまで書き溜めてきた資料をまとめて一冊のテキストを出版したいという希望を口にしました。
退院後、体調の回復を踏まえて本書「スポーツイベントのマーケティング(仮称)」を共同執筆する約束を交わし、章立て・項立てを話し合い、資料の検討と原稿内容の議論などを毎週のように行いました。原稿や資料の入力・作成は当時大学院生で間宮氏のTA(ティーチングアシスタント)を務めていた上代圭子さんが学業と仕事の合間に行い、共著者の野川が僭越ながら原稿と資料に手を加えました。
間宮氏は、スポーツイベントのテレビ番組のコンテンツ制作にかかわりながら、スポーツマーケティング草創期から手探りで“けもの道”を歩きながらイベントマーケティングを構築してきた自負心の強い人物でもありました。順天堂大学で教鞭を執るようになってから、イベント学会設立に奔走し、イベント学会副会長としてイベントプロデューサーの後継者を育てることに情熱を傾注し、イベントマーケティングの知識と智恵の継承のためには、自分の経験と知識を惜しげもなく後進に与える懐の深い人物でした。オリンピックを筆頭に各種スポーツイベントのマーケティング動向に常に眼を光らせ、最新の極秘データを徹底的に探し求め、メディアとスポーツイベントの関連性と方向性に注目し、スポーツイベントの将来を展望する研究心の旺盛さには敬服させられました。
(社)日本イベント産業振興協会(JACE)実施の「イベント業務管理者資格」への思い入れも強く、万国博覧会(万博)と呼ばれるジャパンエキスポがその目的を達成した現在、新しいデジタル時代でのコミュニケーションメディアとしてのイベント学の再構築が焦眉の急であると主張していました。新しいイベントのコンテンツとしては、スポーツと音楽に可能性を感じていました。そして、『順天堂大学、日本大学の大学院生には、学部時の履修科目に応じて、順不同であるが、以下のテーマで研究をいたしたいと思っている。また、日本大学2年時の学生諸君には、JACEイベント講座を最低20時間に加えて、前・後期でテーマを特定して学んでもらうつもりである。』という文章を書き残して間宮氏は病床に伏せることになりました。そして入院後約1カ月の2007年12月26日に黄泉の国に旅立ちました。スポーツイベントの巨人が姿を消しました。
本書の第Ⅰ部を編集するにあたり、間宮氏の著書「スポーツビジネスの戦略と知恵」(ベースボール・マガジン社)、「実践イベント学入門」(サイエンティスト社)などを何度も読み返しました。氏の希望で、「スポーツビジネスの戦略と知恵」の部分をそのまま記載している箇所がいくつかあります。間宮氏が逝去されてからは、これまでの資料の行間を読み取る気持ちで氏の言わんとするところを記述してきました。氏の思い入れが強いオリンピックのマーケティングに関しては、従来のオリンピック資料にはほとんど記述されていないため、内容確認と資料確認に最後まで時間が掛かりました。残念ながら、スポーツイベントとマーケティング戦略事例として、世界陸上選手権、WBC、バスケットボール世界選手権などに言及するまでには至りませんでした。
生涯スポーツイベントを網羅した第Ⅱ部の原稿は約2年前に集まっていたので、毎年開催されるイベントに関してはできる限りデータなどを更新しました。分担執筆者の方々には多大なご迷惑をおかけしました。若手・中堅の執筆陣だったので、編集に手間取る2年間に、7人の執筆者が本務校を異動しました。この場を借りてお詫びいたします。
出版に際しまして、ご多忙中にもかかわらず資料の確認等にご協力下さった(株)電通の森隆一副社長、イベント学会小林政則事務局長、資料提供と原稿執筆を引き受けてくださった(株)電通メディア・コンテンツ・セクター、サッカー事業局 濱口博行エグゼクティブ・ディレクター、伊地知直亮クラブワールドカップ事務局長、テレビ局 榑谷典洋デジタル業務部長、新聞局 北出康博計画推進部長、電通総研 浦野茂樹コミュニケーション・ラボ スーパーバイザーに感謝しております。
最後に、プルーフリーディングと資料の更新など諸々の編集作業に携わってくださった順天堂大学スポーツ健康科学部の宮﨑朋子講師と上代圭子助教に深く感謝します。

2009年8月20日

間宮 聰夫
野川 春夫

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