子ども・からだ・表現-豊かな保育内容のための理論と演習-
西 洋子(東洋英和女学院大学助教授)
本山 益子(岡崎女子短期大学助教授)
鈴木 裕子(名古屋柳城短期大学助教授)
吉川 京子(金沢大学助教授)
【発行日】 2003年4月16日
【ISBN】 978-4-9900743-8-8
【判型】 B-5
【ページ数】 134
【写真図表】 89
【価格】 定価2,310円(税込)
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【はじめに】
からだとこころを柔軟にして、子どもから溢れでるメッセージに向き合うこと。
子どもと共に表現する営みのなかで、子どもも保育者も、自らの可能性を育んでいくこと。
この本は、そんな表現活動への思いを暖めながら、4名の著者が共同で編んだものです。
子どもたちの表現。
子どもは、歌うように語ります。
その語りは、現実と想像の世界を自由に駆け抜け、語るからだは、奔放なリズムで大きく弾みます。子どもの表現の世界は、語りも歌も動きも・・・そのすべてが未分化で、だからこそ生き生きと、そして繊細でもあるのです。
子どもたちの豊かな表現に出会う保育者は、日々その感動で、こころが充たされていくことでしょう。しかしその一方で、子どもの表現が、ドキドキするような体験や、新しい発見、そしてさまざまな人たちとのかかわりによって、一段と鮮やかさを増すことを、深く静かに理解しなければならないのだと思います。
これまで多くの保育者は、子どもたちの感性や表現が、自発的なあそびを通して自然に育まれることを保育の理想としてきました。しかし、そのためには、子どもの傍らでそれを見守り、受けとめ、かかわる保育者自身は、いくつもの課題に意図的に取り組みながら、自らの成長を促すことが必要なのです。
本書は、すでに保育者として子どもと向き合っている方々や、これから保育者を志す学生たちのために、子どもたちの豊かな身体表現の世界を紹介しながら、子どもと保育者が共に表現活動をすすめる意義やその際の具体的な内容を示したものです。
1章「からだの表現、こんなところに・・・あんなところに・・・」(西 洋子)では、著者がこれまで、保育の現場で見聞きした印象的な出来事を、8つの短いエピソードとして記しました。毎日の保育のなかで、子どもたちはさまざまな表現をみせてくれます。そんな瑞々しい瞬間を捉えようと試みた記述を、みなさんひとりひとりの視点で読みときながら、子どもの表現世界への理解を築き、また保育者の援助への思いを膨らませていただきたいと思います。
続く2章「子どもの身体表現の特性と発達」(本山益子)は、身体表現の考え方を分類・整理した章です。これまで、保育における身体表現には、曖昧に語られてきた部分が多くありました。ここでは、「保育」を子どもの生活そのものと捉えたうえで、その身体表現には、「あらわれ」と「あらわし」という2つの側面があることに言及しています。さらに、この「あらわし」と「あらわれ」とが、双方向的に行ったり来たりすることによって、子どもの生活全般に豊かなコミュニケーションが生まれていく事実を、わかりやすく解説しています。
3章「子どもとかかわる柔らかなからだ」(西 洋子)では、保育者が自らのからだを“柔らかな”ものへと耕し、その身体的な感覚から、子どもの世界を捉えなおす意味と可能性を探ってみました。園内研修として、半年間の身体表現のワークショップを体験した新任保育者K先生の事例を追いながら、身体表現でのからだやこころの体験と、自分の保育とを循環させるプロセスの中で、ひとりの保育者が何を感じ、考え、さらに子どもとのかかわりがどのように変わっていったのかを紹介しています。
そして4章「身体表現・共に育む」は、本書の中心部であり、また実際の活動や授業を想定した演習編でもあります。
これまで著者らは、さまざまな園を訪れ、そこで出会った子どもたちや先生方と共に、様々な身体表現を行ってきました。ここでは、そのような営みを通して生まれた活動を、『からだ』、『動き』、『音』、『身近なもの』、『かかわり』、『イメージ』、『物語』の7つのテーマで再構成し、各テーマのもとに具体的な展開例を示しました。
それぞれの活動例を参考にしながら、まずは気軽に、みなさんなりの表現を芽吹かせてみてください。そして子どもたちと共に、思い思いの花を咲かせていってください。
続く5章の「いっしょに表現する活動」(鈴木裕子)では、年間にわたる保育現場での身体表現の実践事例を紹介しています。日々の保育や、待ち遠しい行事までの過程で、子どもたちの何が、どんな風に育まれていくのかを、その発達の様子とあわせて、より具体的に考えていただきたいと思います。
最後に、6章「解説:身体表現をとりまく問題」(吉川京子)では、「幼稚園教育要領」の歴史的な変遷を辿りながら、保育における身体表現の位置づけを探ってみました。さらに、保育における身体表現の今日的な意味を考えながら、保育者養成の問題点と今後を展望しています。
いうまでもなく本書は、多くの子どもたちや、先生方、学生たちと一緒に、身体表現を楽しむことによって生まれてきました。ここであらためて、これまで出会ったすべての方々にお礼を申しあげたいと思います。どうもありがとうございました。
そしてこれからも、みなさんひとりひとりの新しい表現によって、本書がさらに育まれていくのだと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
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【目次】
1章 からだの表現 こんなところに・・・あんなところに・・・
- みつけたチューリップ
- ともにすごす
- K君とダンボール
- 忍法,かかわりの術
- 静かな,あいさつ
- 鳥になってみよう
- “あいだ”
- 雨の日のかたつむり
- 「身体表現」は好きですか
- 「身体表現」ってなに
- 「あらわれ」と「あらわし」
- 子どもの日常的な「あらわれ」と「あらわし」
- 子どもの創造的な「あらわし」
- 「あらわし」から「あらわれ」へ
- 子どもの創造的な「あらわし」の段階
- 子どもの身体表現を育むために
- どんな“からだ”なのか
- M先生の保育エピソード
- “からだ”でかかわりながら育つ
- なぜ“柔らかなからだ”なのか
- どうしたら耕すことができるのか
- “からだ”が反応しない
- 第1回ワークショップ:“送る~受ける”
- 第2回ワークショップ:“一緒に”
- K先生の保育エピソード
- 感じ,考え,変わっていくプロセス
表現遊び 1 からだ
表現遊び 2 動き
表現遊び 3 音
表現遊び 4 身近なもの
表現遊び 5 かかわり
表現遊び 6 イメージ
表現遊び 7 お話
「身体表現遊び」Q&Aで再確認
5章 いっしょに表現する活動
- 子どもと先生の1年間
- 幼児の身体表現遊び -5歳児の事例-
- 乳児の身体表現遊び -2歳児の事例-
- 保育現場の悩みや問題
- 領域「表現」と身体表現
- 保育者養成の問題
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